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2010年11月 4日 (木)

防水透湿性ファブリックを使用したテントと雨について

 10月の第2週、2泊3日のテント泊によるちょっとした縦走を行った。
 その際の食に関しては、山のご飯 2010年10月第2週 単独行テント泊の場合へ記した。

 今回のテントは、登山の単独行の為のテント選びに記した通り、防水透湿性ファブリックを使用したメスナーテントのメスナーN-LAYER5050である。

 このブログでは、防水透湿性ファブリックを使用したテントと、雨天時の結露について記したい。
 これから防水透湿性のテントを買おうと思っている人の参考になれば幸いである。尚、積雪のある冬山については、ここでは論じない(私は経験がないので)。

 参考までに私のテントの耐水圧(mm)、透湿性g/m2/24hを記す。メスナーのN-LAYER5050は耐水圧15000、透湿性11000である。ゴアテックスはそれぞれ45000、13500。透湿性としてはそれ程大きな差は無いが、耐水圧で数値的には大きな差がある。しかしながら、実使用で雨漏りを経験したことはない(傘は1500mm程度でも雨漏り無しなので当然と言えば当然かも)。
 最近、このテントの後継?として、N-LAMINATE(それぞれ、20000、16000)を使用したEVOシリーズが登場した。こちらのテントは、バスタブを可能な限りなくしたデザインになっているが、防水透湿性ファブリックの面積が増えたためか若干重量増しになってしまった。
 私的には、ファブリックの向上より、バスタブの部分による改善度が気になるところである。

 さて、メスナーテントに限らず、防水透湿性ファブリックを使用したテントには、オプションとしてフライが用意されている。フライがあれば、前室が設けられるので、物置に使えるメリットがある。更に、透湿性ファブリックと言えテントの内外の気温差、湿度、調理などにより結露してしまう場合がある。フライがあれば気温差が緩やかになり、より結露に対して有利になる。
 しかしながら、オプションのフライは持参しなかった。
 理由は、防水透湿性ファブリックを使用したシングルウォールテントは、メスナーに限らず、フライを使用しなければダブルウォールのテントより軽いものが多いが、フライを使用すると元々ダブルウォールで設計されたテントより重くなる。フライシートだけで、メスナーのフルフライは460g、アライのゴアライズは390gもあるのだ。
 故に、私は山へテントを持ち込む際は、通常フライを持っていかないことにしている。持ち込むには、それ相応の理由が必要な重量増しである。但し、山以外、例えば重量増しが気にならない車を利用した旅行などでは持つ場合が多い。

 今回、2泊3日のうち、2晩雨が降った。幸い昼間は降らなかったが、次のように降った。
 初日 夜9時から翌朝6時程度まで約9時間。
 2日目 午後4時から5時、夕方6時から翌朝6時程度まで約12時間。
 実際の降水量を数値表現したいが、観測機器を持ち込んでいないので分からない。また、気象庁の過去の天気から近隣の地域の降水量を
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php?prec_no=&prec_ch=&block_no=&block_ch=&year=2010&month=10&day=5&elm=&view=
調べたが、両日ともに実態と全くあっていないので記さない。

 また、一晩中起きていた訳ではないので、連続で降っていたとは言い切れないが、何回か目が覚めたときの感覚から、ほぼ連続に降っていたと思われる。

 このようなときに防水透湿性ファブリックを使用したシングルウォールテントのメスナーテントは、どうなったか?について記す。合わせて、防水透湿性ファブリックの透湿性について、数値的な計算を試みる。

 尚、テントの内部は、何れの日もテント内部に薄い銀のシート(100円ショップの約1mm厚90cm×150cm)とマットレス(Zライトを切ったもので8片分)を使用していた。
 シェラフはカバーなし。
 シェラフカバー無しの理由は、後日記したいと思う。

 それと、テントの中では、ストーブ(コンロ)を1度も使っていない。湯を沸かせば、蒸気が発生=湿度アップとなる。

【1.テント内の状況】
①初日(約9時間の降雨)
 テントの設置場所は、全面、木の板の上。午後6時・午後9時、テント外温度9℃~10℃、テント内温度14℃~16℃(何れも実測)。
 ボトムは湿度の関係から若干水滴が付いた。
 防水透湿性ファブリックの部分は、サラサラとは言えないが、水滴が落ちてくるようなことはなかった。
 ※雨が降っていない日であれば、防水透湿性ファブリックの部分はサラサラである。

 下の写真は雨の前の写真。
Img_7847
 風もないところなので、横着して張り綱を岩に絡めず、岩を置いただけ。皆様は真似をしないように。

 この写真は翌朝、テント撤収後の写真。このくらい水が回り込む。
Img_7947

②2日目(12時間以上の降雨)
 テントの設置場所は、全面土。
 午後6時・午後9時、テント外温度8℃~9℃、テント内温度13℃~15℃(何れも実測)。
 1時間当たりの降雨量が初日より明らかに多いこともあり、ボトムの四隅寄りに3cm四方程度の小さな水溜りが発生している部分が出来た(バスタブ部で発生した結露が流れて溜まったと思われる)。水の一部は、薄い銀シートの下に若干回り込んでいた(銀シートの面積の1/10程度か)が、1mm厚の銀シートが水没して、シェラフが水を吸ってしまう事態には至らなかった。

 バスタブ部分にも水滴が多いが、足元はシェラフと接触する可能性が高いので、レジ袋を使って接触してもシェラフが水を吸わない配慮をしている。このこともあり、バスタブからの実害はなかった。

 薄い銀シートはテントの底面全体より小さいので、レジ袋を一部に敷くなどして湿気対策を行っている。結露対策を重視するなら、本来、薄い銀シートは、私が使用した(軽量化と嵩対策の為)ような小さいものではなく、バスタブ部分まで覆う大きさを使うことが望ましい。

 防水透湿性ファブリックの部分は、一部に水滴が付き、2回(2時間程度の間があった)水滴の落下を確認した。2回とも1滴の落下で、1滴とは1ccもないくらいレベルだと思う。2回目以後は、テントの内側を拭いたので水滴の落下に伴う直接の被害はなかった(雨の酷いときは、目覚める度にテントの内側を軽く拭くのがよいだろう)。

 以上である。より透湿性の高いゴアテックスなら、湿気に対してもう少しよい状態だと思うが、透湿性に数値的には大きな差がないので、差は分からないレベルだと思う。

 下の写真は翌朝。テントの上にMSRのタオルが.....。
Img_8441

 念の為、2日目のテントは初日の雨によって水を吸っているので、初日に比べ本来の性能を発揮出来ない不利な状態にあると考えられる。更に、初日より降雨量も多いので、この点も不利である。


【2.フライありだとどうなるか?】
 では、防水透湿性ファブリックのテントにフライを付けるとどうなるか?を記す。以下は、別の日の話なので雨量、温度、湿度、風速ともに異なる。
 透湿性なので、テントの内側は100%サラサラとは言えないが、かなりの雨でもテントの内側を拭くような必要はない。但し、バスタブは湿気を伴う場合があるが、上記初日レベルより程度はよい。
 一方、フライの内側は、水滴がかなり付く。これは防水透湿性ファブリックを透して、本来空気中に拡散すべき水分がここへ溜まったものである。人間は汗と息でかなりの水分を放出している証でもある。人間は、息だけで1時間に約40ml程度もの水分を排出。8時間分が溜まれば、単純計算で320mlにもなる。

 雨の日にフライを使うとフライの外側と内側の両面が濡れる。その上、撤収時も雨が降っていれば、更にテント本体の外側も濡れる。合計3面も濡れるので、これは重量増しとなる。そんなこともあり、私は山ではフライを使用したくない。

【3.山中でフライは必要か?】
 山中で、ゴアテックス等の防水透湿性ファブリックのテントにフライを付けている人を見かける。私的には、400g前後もあるフライを付けるくらいなら、ダブルウォールのテントを選択して使用すべきであると考える。
 フライがあれば全室が作れるメリットはあるが、テント内を整理整頓すれば、靴を含めてソロ用のテント内に全ての荷物を置くことが出来る(荷物が多くなる積雪のある冬山は考慮していない)。確かにフライがあれば、雨の日の出入りに伴うテント内濡れを削減できるが、頻繁に出入りする訳でもなし、拭けば済む話でもある(当然、出入りの際はフェラフを出入り口から離すこと)。
 また、フライ無しではあるが、タープを使用している人も見かける。確かに登山雑誌にも使用例が載っていたりするが、タープもフライなみの重量がある(アライのツェルト用だと350g)。
 どうしてもタープによる屋根が欲しいなら、テントの下に敷くボトムシート等を利用して、入口だけの部分的な屋根にとどめるべきと思う。この方がまだ軽い。
 しかし、タープもボトムシート利用する方法にしても風には無抵抗に近いことを忘れてはならない。風を考えるならフライである。しかし、フライがあれば重量増し、更には設営・撤収の手間が増える。
 そんなことから、防水透湿性ファブリックを使用したテントで、フライ(タープ含め)は不要と考え実践している。

【4.テントの結露】
 そもそも何故結露が起きるときと起きないときがあるのか?
 温度と空気中に含まれる水分の量は、ある関係を持つ。ある関係とは飽和水蒸気量に則る。これは、空気中に含まれる水分の量の限界を示すもので、この限界を超えると結露が発生する(結露の発生は、温度以外に気圧の影響もあるがここでは無視する)。
 当日の温度から湿度を計算してみる。湿度の計算は、近似的には、Tetensの式 E(t)=6.11×10^(7.5t/(t+237.3)から飽和水蒸気量A=217×E/(t+273.15)を求めることで計算が出来る。tは温度を示す。最初の式の計算結果E(t)を2つ目の式に入れて計算する。
 例えば、テント内の温度が14℃ならば、E=15.991hPa、A=12.084g/m3。ソロ用テントの容積Vは、ザックリ1/3×(1×2)×1=2/3m3(≒0.67)なので、テント内の空気中には僅か8g程度(12×2/3)の水分しか存在出来ない。これを超えれば結露、つまり水滴が発生する。
先ず、14℃のときにテント内の湿度が70%あったと仮定する。1m3当たりの空気に含まれる水蒸気の量をXとして計算する。
 飽和水蒸気量A12.084:X=100:70。
1m3当たりの空気に含まれる水蒸気の量Xは、8.46g。テント内の容積に置き換えれば、70%の湿度の環境下で8.46/(2/3)=5.64gの水蒸気が存在することになる。
 人は、1時間に約40mlの水蒸気を吐く。40mlとは40gである。1分で概ね2/3g、3分で2g、5分で3.3g、6分で4gにもなる。即ち5.64+3.3≒9>8となり、5分もすれば結露が発生することになる(換気を全くしない場合、かつ汗を考慮していない)。

 防水透湿性ファブリックであるメスナーのN-LAYER5050の場合は、透湿性が11000g/m2/24hである。これは、1日に1m×1mの面積のところから11Kgの水蒸気を放出できることを意味する。
 11000g/m2/24hを1時間に置き換えると458g/m2/h、1分に置き換えると7.64g/m2/mとなる。
 ソロテントの底面を除く表面積は、ザックリ3m2(2×1/2×2+1×1/2×2)である。
 ソロ用テントの表面積があれば、1分間に3×7.64≒23g程度の水蒸気を放出できる計算になる。但し、この数値は、換気を全く考慮していない。
 先に、人は1分に概ね2/3gの水蒸気を吐くと記したが、この程度であれば十分にサラサラを維持出来るはずである。※23/(2/3)=34.5倍、人の吐く息より約35倍も水蒸気を放出する能力があるのだ。
 では何故出来なかったのか?それは、1つは、雨によってテントの外面が濡れていた為ではないか?と思われる。もう一つは、2日目は、特にファブリックが水を既に吸っている状態から使用している点である。
 防水透湿性はJIS規格L1099 http://www.jisc.go.jp/app/pager?id=12871によって試験方法が定められているが、実は透湿性に関して表面やファブリックそのものが濡れている場合を考慮していない。
 故に雨天時にカタログの示す透湿性を発揮出来ない可能性が高い。これは、ゴアテックスなど全てに言える事である。

 希望的には、ファブリックメーカは、表面が濡れた条件やファブリックが水を含んでいる状態の性能試験を行い、その数値データを開示して欲しいところである。


勝ってにリンク
防水透湿性生地の透湿性能比較実験
http://www.geocities.jp/chonai_yama/research/examination.html
を見ると面白い実験がある。私的によくここまで実験されたと賞賛を送りたい(実験条件も記されている点も評価が高い)。ただ、何故JISと異なる80℃と50℃で実験されたのか分からない。

●私の登山関連ブログ
 登山の目次


※2012年9月6日追記
 前々から雨で濡れたテントが、どの程度重くなるか気になっていた。実測した結果をまとめたブログを記した。
 リンクは、登山用品 防水透湿性ファブリック使用したシングルウォールテント メスナーN-LAYER5050は、雨による吸水量を実測した
である。


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